コロナ陽性になった話 2

自宅療養生活決定

軽い空咳が出ること以外は症状がないものの、陽性確定したため、さらに10日の待機(療養)が決定した。通常の生活に戻れるまでのプロセスを保健所の方から言い渡される。

2020年くらいのニュースでコロナ陰性の検査結果x2回で社会生活に戻れるというような内容を見たことがあったので、その過程をなぞるのかと思ったら、現在はそうではないとのこと。症状がなくなり72時間経過すれば治ったとみなして元の生活に戻れるという話だった。

罹患者が増え検査数を増やしているとはいえ、完治確認のための検査までは手が回らないから省くということなのか? 偽陰性、偽陽性などもあるためなのか、無症状の陽性者もいるというのに、72時間ルールで良い、というのは、何か根拠となるものが確定しているのだろうか?と、さらに疑問が増えつつも、ひたすら指示に従う他ない状況のため、なんの準備もないまま療養生活に突入することとなった。

以下は、私が自宅療養を言い渡された2021年5月時点での札幌での待機内容。

  • 保健所から陽性の連絡を受けた瞬間から外出は一切禁止
  • 基準として発症日から10日が経過観察期間。
  • 発症日から7日後に症状が治まっていた場合、翌日から72時間(3日間)連続して症状が出なければ療養終了
  • 自宅療養期間中は市の用意した体調報告サイトに、体温血中酸素飽和度など健康状態を毎朝決まった時間までに入力。(報告のために計測用パルスオキシメーターの無料貸し出しあり)
  • 保健所の看護師または医師から体調確認や経過観察のための電話が毎日入り、遠隔問診
  • 希望と必要があれば、支援物品の提供。(消耗品(トイレットペーパー、ティッシュ、マスク、消毒液、ゴミ袋など)や食料品(日持ちのする缶詰、電子レンジ対応のごはん、レトルト食品、お湯を注ぐだけの味噌汁など)の詰め合わせダンボール3箱分)

その他、

  • 健康相談ができる電話番号24時間緊急の連絡先の提供。(血中酸素飽和度の数値が93を下回ったり、具合が悪くなった際に連絡する)
  • 療養証明書などの発行

ちなみに自宅待機は自ら選んだわけではなく、陽性になった時期に重症病床の使用率が6割程度、療養施設は空きがないと言われていて、家族と同居している陽性者が希望しても入れる施設がない状況だったため、「希望されますか?」とは言われたものの入れる余地はなかったので必然的にそうなったのでした。

ちょうど自宅待機を言われる前に八百屋さんでたくさんお買い物をしていたり、直前に食パンだけは買っていたので、自宅で過ごす分には特に問題ないかなと考えていた。10日程で元の生活に戻れると信じて疑わなかったので、支援物品の提供に関してももったいないし、辞退しようかと考えていたくらいでしたが、消耗品で足りなかったら困るかも?というものに関してのみ提供を受けたいと思ったら、すべて1セットになっているため品物を選ぶことはできないとのことで、申し訳ないなと思いながらも頂戴することにした。

結果的にはその物品を受け取っていて良かったと思いました。自分の症状がそんなに悪くなると考えていなかったものの、その後急激に体調悪化して、調理などもできない状態になったので。

病状の変化

陽性が確定した電話を午前中に受けたあと、みるみるうちに頭痛がひどくなってその日のうちに目眩で動けなくなり、横になる生活に突入。幸いにも相変わらず熱は出ない体質のようで、毎日の検温は37.5度を上回ることは解除まで一度もなかったものの、頭痛目眩吐き気倦怠感が日に日にひどくなるというか、時間を追うごとに悪くなっている実感があった。ニュースで見たとおり、悪化する速度が尋常じゃないのかもしれないと恐々としながら、寝ているほかなかった。

保健所に緊急連絡先として家族の連絡先も提供しており、保健所から要請があったからか、翌日から毎日朝晩、父から連絡が来るようになった。生存確認の様子。

翌日以降、パルスオキシメーターが届けられ、血中酸素飽和度体温の測定遠隔問診朝夕実施。配送物はすべて玄関前への置き配非接触で受け取り

症状が出始めた翌朝は起き上がることも出来ないくらいの倦怠感頭痛で、携帯の画面を見ることも目が耐えられないくらい。とりあえず家に買い置いていた頭痛薬風邪薬を飲み横になる。動くと咳が出るし、咳き込むと胸が焼けるようになり、頭痛と吐き気が増す。お腹はなんとなく減るものの普通の食事は喉を通りそうになく、非常時用のおかゆのレトルトパックを温めるのにゼィゼィ言いながら、一袋200gを食べ切ることはできなかった。

「コロナは風邪」という話もネットでよく見かけるけれど、実際のところはまったくわからない。すべての人がそうじゃないだろうと思っている反面、とはいえ、自分は風邪だって滅多にひかないのだから、きっと軽度で済むものと信じて疑わなかった。(コロナに限らず元々なんでも「病は気から」「重症化しない、自分は大丈夫」信じるようにしているため、悪化することは想像したくなかった。という気持ちもあったかも…)
インフルエンザにもかかったことのない私としては、熱はないものの、風邪ってこんな感じだったかなぁ。と感じながら、だいたい2〜3日での回復を想像していた。

インフルエンザウィルスならで身体が自ら治癒しようと反応するのだろうけれど、熱が出ない私の場合、頭痛倦怠感の症状がだんだん治まっていくのをただ待つだけなのか?と思いながら、比較的低体温でもあるし、頭痛が酷すぎるし、ウィルスに勝つために血流を良くしよう!と考え、身体を温めるために湯船に入ることにしてみた。(熱が出ない分、体温を高めることで対抗しようとした)

いつもの習慣で体重を計ると、食欲がなかったとはいえ、1日でいきなり2kg減っていたことにちょっと驚いた。少し前に検査のため丸一日断食をした時にだってそんなに落ちなかったのに?と、知らないところでエネルギーを消費しているのかもしれないと、後から少し納得した。

湯船に浸かって体温をあげ、しっかりとウィルスが弱りますようにと願いつつ、いつものようにお風呂場を出ようとすると、温泉で湯当たりした人かのようにフラフラとして動けない。身体を拭くのにも一苦労しながら、気力身体の反応裏腹さに戸惑いつつ、なんとか布団まで辿り着いた。(いつもよりエネルギー消費してしまうことに愕然とする)

療養期間中は一切外出できないため、所属している会社が支援をしてくれるということだったので、想像に反して食べることが出来なかったこともあり、スポーツドリンク野菜ジュースを送ってもらうことにした。水分栄養をなんとか積極的に補わなければと思ったので、対応してもらえてとても助かった。追って、保健所からの物資も届き、飲むビタミンゼリーなども入っていたので嬉しかった。

だるさもあり食べることはできないし、ほぼ寝たきりのまま数日を過ごした。トイレや食事に立ち上がるたびにが出て頭痛が増し、吐き気が誘発されて倦怠感が酷くなるサイクルを繰り返す。主食は飲むゼリーと野菜ジュース、スポーツドリンク。時々お湯を沸かして、カップの味噌汁やレトルトのお粥を時間をかけていただいた。体温は36度前後のまま推移。血中酸素飽和度は97〜99。

待機期間に入ってすぐは症状がなかなか出なかったこともあり、部屋の片付けをして過ごしたり、自分は悪化しないで済むのでは?と楽観的に考えていた陽性確定直後は、「自宅療養だし、録り溜めていた映画やドラマでも見て過ごすか」と安易に思っていたけれど、実際は動画を見るのも辛い。吐き気や頭痛がするので画面を見ていることができず、スマホやPCを触るのもしんどい状態になった。身体を動かすのにもキビキビと動くことができず、壁に手を添えながら歩く始末。想像と違う…。

「あぁ、「コロナは風邪」と言えるのは、この症状がそのまんまケロッと治る人だけで、意外にここから急変して、咳が止まらない呼吸ができない肺炎を併発…。となったら、確かに自宅療養でもいきなり死んじゃうかもな。」と、不安な気持ちがよぎった。(考え出すと恐いので、そこからは考えないようにした)

持病を持っているとか、高齢者であるとか、悪化しやすい人のひとつの傾向でしかなくて、誰もが「まさか」で、自分が死ぬなんて思わないものだと思う。法則性を見出せないうちに、なす術なく突然に。ということが実際起こり得るのが、コロナの怖いところなんじゃないだろうか。
自宅で突然死なないための早め判断の頼りは自分の体感と、血中酸素飽和度が93以下になるかどうかという基準だけ。その基準に達した状態であったって、病院に運んでもらえないという体験談もネットにはある。当事者はひたすら、どうなるかわからないという不安を抱えながら過ごすしかない

そもそも、改めて冷静に考えれば当たり前のことなのだけれど、今の世の中になって初めて体験する人しかいない、未知の、初体験の病気なのだから、罹る以前の自分も含め、わからない・知らない人の方が大多数で、専門家でさえ理解して治療薬を作れてもいないような状況下に、かかったこともない人の脅しのような物言いも、逆に騒ぎすぎだとか軽視し過ぎる物言いも、人は自分の採用したい耳障りのいい言葉なんかを信じたくもなるけれど、いずれも真実とは言い難いものでしかないんだよなと。

どうして重症化するのかわからないけれど、日に日にというスピードではなく、時間を追ってあっという間にすぐという速さで変化していく感じは、症状が出てすぐに身を持ってわかった気がした。